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公共用地補償の仕組み


 道路、河川、公園等を整備するための公共事業を施行するに際しては、事業に必要な土地を取得したり、土地の上にある建物等を移転してもらったりする必要が生じます。

 このような用地取得の進め方は、概ね以下のような手順に沿って行われます。

① 事業計画説明会

 土地の所有者及び住民の方々に事業の目的、計画の概要、工期、施工方法等についての説明会が開かれます。

② 設計・用地説明

 設計図を基に、関係者の方々に具体的な説明がなされます。
 また、併せて土地の測量及び物件調査の方法についても説明されます。

③ 用地幅杭の設置

 事業のため必要とする土地を明らかにするため、現地に事業用地として必要な範囲を示す幅杭が設置されます。

④ 用地測量及び物件調査

(ア)用地測量

 土地の買収面積を確定するため、土地等の所有者、隣接地の所有者等の関係者の方々の立会いのもとで境界を確定し、用地測量が行われます。

(イ)物件調査

 建物、工作物、立竹木等は、所有者ごとにその種類、構造、数量等について詳しく調査がなされます。

(ウ)調査結果の確認

 用地測量及び物件調査が完了しますと、その調査結果の内容について誤りがないかどうかの確認をしていただくことになります。

⑤ 補償額の算定

 公共事業のために必要な土地の取得に当たって支払われる土地価格、物件移転料等の補償額は、国が定めた「補償基準」に基づいて、適正かつ公平に算定がなされます。

(ア)土地所有者に対する補償

1)土地価格

 「補償基準」では「土地価格は正常な取引価格をもって土地の取得価格とすること」と定められています。

 そこで、取得価格の算定当たっては、利用状況(現況地目)に着目し、次のイ~ニに掲げる資料を基に算定を行い、総合的に比較検討したうえで決定されます。

  1. 市場における正常な取引価格からの比較
  2. 国、都道府県が公表している公示価格、基準価格
  3. 不動産鑑定士による鑑定価格(参考)
  4. その他(現地確認など)

2)残地補償

 公共事業に提供いただいた土地の残り部分(残地)が狭くなり、利用が極めて困難となったことにより価値が低下したと認められる場合には、その残地の損失に対しても補償されます。

(イ)借地権者に対する補償

 借地権等が設定されている場合は、土地所有者と借地人等の相互の話し合いにより、権利の割合等を決めていただき、この割合等に応じて土地代金を配分し、個別に契約が結ばれます。

(ウ)建物所有者に対する補償

1)建物移転補償

 土地に建物があり、移転が必要と認められる場合には、建物の構造、用途、その他の条件を考慮して移転工法を認定し、これに必要な費用が算定され、補償されます。

 移転工法の主なものには、「再築工法」「曳家工法」「改造工法」があります。

2)工作物移転補償

 工作物(門扉、塀、物置、コンクリート叩き等)については、移転に必要な費用が算定され、補償されます。

3)移転に伴うその他の補償

  • 建物の移転に伴う動産(家財道具、商品、諸材料等)については、荷造り、運搬等に必要な費用が補償されます。
  • 建物等を移転するために支出することが想定される経費で、「移転先をさがすための費用」「住居移転のための届出等法令上の手続に必要な費用」「知人に引越しの通知をするための費用」等が補償されます。

(エ)借家人に対する補償

 建物の移転に伴い、現在の貸し主との賃借りの継続が著しく困難と認められるときは、これまでと同程度の建物を賃借りするために、通常要する費用が補償されます(動産移転料、移転雑費、権利金など)。

(オ)営業者に対する補償

 店舗が移転することにより営業を一時的に休止する期間が必要であるときは、

  • 休止する期間の収益減(個人営業の場合は所得減)
  • 営業用資産に対する租税公課など休止する期間でも必要となる経費
  • 休止する期間の従業員に対する休業手当

 などが算定され補償されます。

⑥ 用地交渉

 土地の価格や建物等の移転補償額について、土地所有者及び関係者の方々と個別に説明がなされます。

⑦ 契約

 用地交渉が整いますと、土地建物の所有者及び関係者の方々と個別に契約がなされます。

⑧ 補償額の支払いと土地の引渡し

 契約の締結が完了しますと、契約書記載の必要書類を提出していただき、起業者が責任をもって所有権移転の登記を行います。

(ア)移転物件のない土地(更地)を契約した場合

 所有権移転登記の後、土地の引渡しをいただくと、補償額は一括で支払われます。

(イ)建物等移転物件のある土地を契約した場合

 建物等の移転は所有者の方々に行っていただくことになります。

1)前金の支払い

 契約を締結されますと、補償額のうち起業者が規定する範囲内の金額が前金として支払われます。

2)後金(補償額-前金支払額)の支払い

 所有者による建物等物件の移転が完了した後、起業者による移転完了等の確認(履行検査)が行われ、土地の引渡しが完了すると後金が支払われます。

⑨ 補償額に対する税について

 公共事業に協力し、土地を譲渡された場合には、次の租税特別措置法上の優遇措置が受けられます。ただし、(ア)については、「起業者が買取りの申し出をした日から6か月以内に土地売買等の契約が成立した場合」に限られます。

(ア)「5,000万円の特別控除」の適用が受けられます。

(イ)代替資産を取得した場合には「代替資産を取得した場合の課税の特例」の適用が受けられます。